ギリシャ神話から読み解くおひつじ座の由来「金色のヒツジ」

おひつじ座

おひつじ座の由来を知っていますか?自分の星座であっても、由来までは知らないという人がほとんどかと思います。

おひつじ座の由来はギリシャ神話に登場する「金色の毛を持つヒツジ」です。

いきなり「金色の毛を持つヒツジ」と言われてもピンときませんよね。そこで今回は、自分の星座について「もっと知りたい!」という人や、ギリシャ神話に興味があって「おひつじ座についての話を知りたい!」という人に向けて、ギリシャ神話のおひつじ座に関するエピソードを紹介をします。

これを読むことで、おひつじ座について詳しくなることができます。
登場人物が多いですが、難しくありません。ゆっくり読んでいきましょう。

金色の毛を持つヒツジが子供を救う

オルコメノスの王であるアタマスには、最初の妻ネペレとの間に子供が二人、そして2番目の妻であるイノとの間にも二人の子がいました。

イノはネペレとの間に生まれた子供のプリクソスとヘレを邪魔だと思っており、あることを計画します。
イノは農民たちに作物の種をあぶらせ、作物が実らないように工作したのです。

アタマスは、作物が実らなかったことを怪しみ、神に神託を仰ごうと、デルポイに使者を送ります。

イノは、この使者を買収し「プリクソスをゼウスの生贄に捧げるように神託があった」と言わせました。
アタマスは神託に従い、プリクソスを生贄に捧げることにします。

アタマスは、プリクソスを生贄に捧げるため、山頂に連れて行きます。
この時、ネペレーがプリクソスを救い出し、逃げさせるために「金色の毛を持つヒツジ」を与えたのです。
プリクソスは、妹のヘレと共に金色の毛を持つヒツジの背中に乗って空を飛び、逃げることに成功しました。

金色の毛を持つヒツジは幸せを見届け神への生贄に

金色の毛を持つヒツジの背中に乗ったプリクソスとヘレは、そのまま空を飛んでいきます。
しかしその途中、ヘレはヒツジの背中から海に落ちてしまいます。

プリクソスはその後もヒツジに乗り続け、コーカサス地方のコルキスに到着します。
コルキスの王・アイエテスはプリクソスを迎い入れることにしました。

プリクソスはやがて、アイエテスの娘であるカルキオペと結婚します。
プリクソスは金色の毛を持つヒツジを神への生贄に捧げ、その革をアイエテスに送りました。
アイエテスは森の木にヒツジの革を打ち付け、眠らないドラゴンに革を守らせました。

プリクソスは生涯を終えまるまで、コルキスの地で過ごしました。

アタマスやイノは悲惨な目にあっていた

ところで、アタマスやイノはどうなったのでしょうか。

プリクソスを生贄に捧げようとして失敗したイノですが、実は秘密を持っていました。
イノの姉妹であるセメレとゼウスの間には子供がいて、イノはその子を自分の娘としてかくまっていたのです。アタマスはこれを黙認していました。

ゼウスの妻・ヘラは嫉妬深く、この事を憎んでいました。
そこでヘラはアタマスに”狂気”を吹き込みます。

狂気を吹き込まれたアタマスは、白い鹿を見つけて矢を放ち殺します。
しかしその白い鹿は、自分の子供であるレアルコスだったのです。

これを知ったイノは、もう一人の息子・メリケルテスと共に逃げますが、
狂気を吹き込まれたアタマスに追いつめられて、母子ともに海に身を投げたのでした。

(終わり)

説明・考察

2番目の妻が最初の妻の子を妬み、生贄に捧げようとしたところを救う「金色のヒツジ」。
これがおひつじ座の由来となったヒツジです。

妹のヘレは不運で亡くなってしまいましたが、プリクソスは幸せになったようで、安心しました。
ヘレが亡くなった海は、ヘレの名前をとってヘレースポントスと呼ばれていました。
現在はダーダネルス海峡という名前で、実在しています。

プリクソスを生贄に捧げようとしたイノも、最後は酷い目に遭ってしまうのも痛快ですね。
因果応報といった感じでしょうか。

この物語から、コルキスの地にある「金色の毛を持つヒツジの毛皮」を手に入れるための神話「アルゴ遠征隊の物語」が始まるのです。
つながりがあって、面白いですよね。

まとめ

ここまで、おひつじ座の由来であるギリシャ神話を見ていきました。
おひつじ座について、詳しく知ることができたでしょうか。

難しかったという人は、登場人物などの説明を載せていますので、こちらを見てからもう一度読んでみることをオススメします。

登場人物などの説明
アタマス:ボイオティア地方オルコメノスの王
ネペレ:アタマスの最初の妻、子供が二人
イノ:アタマスの2番目の妻、子供が二人
プリクソス:アタマスとネペレの息子
ヘレ:アタマスとネペレの娘、プリクソスの妹
デルポイ:古代ギリシア都市国家、神の意を伺う場所
ゼウス:ギリシア神話の最高の神、全知全能の存在
ヘラ:ギリシア神話の最高位の女神、ゼウスの妻
アイエテス:コーカサス地方コルキスの王
カルキオペ:アイエーテースの娘
セメレ:イノの姉妹
レアルコス:アタマスとイノの息子
メリケルテス:アタマスとイノの息子